さ行 | 刑事弁護に関する用語集 | 逮捕・勾留など刑事事件の弁護士はアディーレ法律事務所

刑事弁護に関する用語集 さ行

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最終陳述 [さいしゅうちんじゅつ]

被告人,または弁護人に与えられるもので,結審前,最後に意見を述べる機会のことをいいます。実務上,被告人・弁護人双方に意見を述べる機会が与えられ,被告人による意見陳述を,最終陳述と呼ぶのが通例です。

最終陳述を経た後は,公判審理が終結(実務では,これを「結審」という),その後,裁判所による判決の宣告を待つのみとなります。

最終弁論 [さいしゅうべんろん]

証拠調べが終了し,検察官の事実および法律の適用についての意見の陳述(「論告」といいます)が終わった後に,弁護人が事件についての意見を述べることを最終弁論といいます。
検察官は,被告人が罪を犯した人間だから懲役何年を求めるといった意見を述べます。これに対し,弁護側は,被告人は無罪であるとか,犯罪をしたとしても良い面もあるから寛大な処分をしてほしいといった意見を述べます。いわば最終弁論は刑事弁護で一番の見せ場といえます。

裁判員裁判以外では,弁論はほとんどの場合,「弁論要旨」という書面を提出します。裁判員裁判以外の裁判では法廷終了後,裁判官が検察側・弁護側双方の書面の意見を見つつ判決を書くことになります。
裁判員裁判の弁論では,口頭が中心で,書面はメモ程度のものしか出しません。裁判員が法廷でのやり取りの直後に議論をするため,書面を読む時間がなく,法廷で弁護人の主張を正確に理解してもらうには,メモを見つつ,弁護人の話をその場で聞いて理解してもらう必要があるからです。

再審 [さいしん]

確定した判決について,一定の要件を満たす重大な理由がある場合に,再審理を行うことをいい,主として事実認定の誤りを是正する非常救済手続です。

再審を請求できるのは,検察官や有罪の言渡しを受けた者で,(1)原判決の証拠が偽造・変造であった場合,(2)原判決に関与した裁判官,検察官が職務犯罪を犯した場合,(3)無罪などを認めるべき「明らかな証拠を新たに発見したとき」といった再審事由が認められる場合で,有罪の言渡しを受けた者の利益のために請求することができます。

裁判所は再審の請求に理由があると認めた時には,再審開始の決定をしなければならず,裁判所は刑の執行を停止することができます。

在宅起訴 [ざいたくきそ]

検察官が被告人を刑事施設に勾留せずに,裁判所に訴えを提起することをいいます。

被告人に,逃亡や証拠隠滅などの可能性がない場合に在宅起訴が認められ,在宅起訴をされた者は普段と同様の社会生活を送りながら,公判を待つ状態になります。

裁判が開始されれば,裁判所へ自宅から公判に通うかたちになります。

在宅起訴となれば,被告人は普段と同様の生活を送りながら,親族等の援助を受けリラックスできた状態で,弁護人と綿密な打ち合わせを行ったうえで,裁判に臨むことができます。

在宅事件 [ざいたくじけん]

在宅事件とは,逮捕・勾留によって身柄を拘束されることなく捜査が進められる事件をいいます。取調べについては,警察や検察から出頭を求められます。窃盗(万引きなど),痴漢,盗撮などの犯罪であり,家族や定職があるなどの事情により逃亡や証拠隠滅の可能性が高くない事案は在宅事件になりやすい傾向があります。

在宅事件は,被害者の方との示談や,事件当事者の性格,年齢,境遇,犯罪の状況など,考慮されるべき事情を明らかにする必要性は身柄事件と変わりません。また,捜査が長期化すると精神的な負担も高いことから,弁護人の必要性は身柄事件と同じです。起訴(裁判にするか否か検察官が判断すること)前の在宅事件では,国選弁護人の制度はありませんので,在宅事件こそ私選弁護人が必要です。

当事務所では,すみやかに捜査機関に弁護人選任届を提出したうえで,処分の見通しについてご案内し,早期に被害者の方との示談交渉に着手し,事件当事者の性格や犯罪の状況などの事情を明らかにすることにより,検察官に不起訴の働きかけを行います。まずはお気軽にご相談ください。

裁判員 [さいばんいん]

取り扱うべき事件に一員として参加し,評議・評決によって合議体の判断形成に関与する素人裁判官をいいます。

裁判員に選ばれた者は,事実の認定,法令の適用,刑の量定をプロの裁判官と一緒に判断することになります。もっとも,法律の専門家ではないことから法律問題は裁判官のみによる合議で決定されることになります。

裁判員に選ばれた者は,知りえた事情に対し,守秘義務および毎回の公判への出廷義務を負い,1日あたり1万円の範囲内で日当を得ることができます。

裁判員候補者名簿 [さいばんいんこうほしゃめいぼ]

裁判員を選定する際に基となる名簿のことをいいます。市町村の選挙管理委員会が,有権者の中からくじで選んだ名簿に基づき,毎年一回,各地方裁判所ごとに作成されます。

裁判員候補者名簿に登録された方には,「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」(「名簿記載通知」ともいいます)が,年末頃に送付されます。名簿記載通知は,新たに裁判員候補者名簿に登録された方に対し,来年度,裁判員になる可能性があることを前もってお伝えし,心構えをしてもらうために送られるものです。

もっとも,この段階では,まだ事件の裁判員候補者に選ばれたわけではなく,今後具体的な事件ごとに,裁判員候補者名簿の中から裁判員候補者がくじで選定されることとなります。その際には改めて,「裁判員等選任手続期日のお知らせ(呼出状)」が送られます。

裁判員候補者名簿の有効期間は,名簿記載通知が届いた翌年の1月1日から12月31日までとなります。

裁判員裁判 [さいばんいんさいばん]

一般の国民が,刑事手続のうち地方裁判所で行われる刑事裁判に参加し,被告人が有罪かどうか,有罪の場合どのような刑にするのかを裁判官と一緒に決める制度です。

裁判員裁判の対象事件は,一定の重大な犯罪に限られており,たとえば殺人罪,強盗致死傷罪,現住建造物等放火罪などが対象となります。

裁判員裁判では裁判員6人と裁判官3人(合計9人)が揃って刑事裁判の審理に出席し,証拠調べ手続や弁論手続に立ち会ったうえで,9人全員で評議を行い,判決を宣告します。

裁判員裁判の手続自体は,裁判官のみによる従来の裁判手続と基本的に同じです。ただ,法廷での審理が始まる前に,裁判官,検察官,弁護人の三者で,裁判員の負担を軽減し、迅速な裁判が行われるよう,事件の争点および証拠を整理し,明確な審理計画を立てるための手続である公判前整理手続が行われます。

また,通常の刑事裁判は,約1ヵ月おきに公判期日が設けられることが多いのですが,裁判員裁判においては,公判が始まってからは連日開廷し,多くの裁判員裁判は数日で終わります。

さらに,裁判員にわかりやすいように,メリハリのある裁判を行うように工夫がされています。たとえば,証拠調べは,厳選された証拠によって行われますし,争いのない事実については,その事実や証拠の内容・性質に応じた適切な証拠調べがされます。

また,当事者双方の尋問は,原則として連続して行われ,論告・弁論も,証拠調べの終了後できる限り速やかに行われます。

裁判員選任手続 [さいばんいんせんにんてつづき]

裁判員裁判の対象事件につき,起訴を受けた裁判所が行う,事件ごとに一般国民の中から裁判員6名を選任する手続をいいます。

裁判所はまず,作成した裁判員候補名簿から,くじで裁判員候補者を選任します。

そして,裁判員選任手続に際し,裁判員の資格(弁護士等の法曹関係者,禁錮以上の刑に処せられた者等は,裁判員になれません)について判断するために,裁判員候補者に質問票を送ります。質問票を送られてきた裁判員候補者は,この質問票に対し返答をします。裁判員候補者には合わせて選任手続期日を知らせる呼び出し状(「裁判員等選任手続期日のお知らせ(呼出状)」)が送付されます。

裁判員選任手続は裁判所において,裁判官,検察官,弁護人が出席して非公開で行われます。そして,裁判長は裁判員候補者に対し辞退希望の有無,不公平な裁判をする恐れの有無等に関し,質問をします。

裁判所は裁判員候補者からの質問等から判断し,不選任の決定がなされなかった裁判員候補者の中から通常6名(補充裁判員が選ばれることもあります)の裁判員を選任します。

裁判官 [さいばんかん]

司法権を行使して裁判を行う公務員をいい,最高裁判所長官,最高裁判所判事,高等裁判所長官,判事,判事補,および簡易裁判所判事の6つの官名に分かれています(裁判所法5条)。

裁判官は,刑事事件の捜査段階では,人権擁護に配慮しつつ逮捕,勾留,捜索等の強制処分の当否を判断する任を担い,また公訴が提起された際には裁判を主宰し,正しい事実認定,法の解釈と適用,量刑の判断を担うこととなります。このような重責を担う裁判官の職務には,公平さや独立性が不可欠なことから,裁判官には強い身分保障が与えられており,心身の故障や弾劾裁判によって罷免されない限り,その意思に反して罷免されることはありません。

裁判所 [さいばんしょ]

主に具体的事件につき裁判権に基づいて審理・裁判を行う機関をいいます。日本には,最高裁判所と下級裁判所とがあり,後者は,さらに高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所に分かれます。

正しい裁判を実現するために三審制度(第一審,第二審,第三審の3つの審級の裁判所を設けて,当事者が望めば,原則的に3回までの反復審理を受けられるという制度)が採用されています。

第一審の裁判所の判決に不服のある当事者は,第二審の裁判所に不服申立て(控訴)をすることができ,第二審の裁判所の判決にも不服のある当事者は,更に第三審の裁判所に不服申立て(上告)をすることができます。

個々の裁判所は,それぞれ独立して裁判権を行使することができ,たとえ下級裁判所であっても上級裁判所の指揮監督を受けることはありませんが,下級裁判所の裁判に不服のある当事者から上訴があったときは,上級裁判所は,下級裁判所の裁判の当否を審査する権限を有し,当該事件に関する限り,上級裁判所の判断が下級裁判所の判断より優先し下級裁判所を拘束します(「審級制度」といいます)。

酒酔い運転 酒気帯び運転 [さけよいうんてん しゅきおびうんてん]

酒酔い運転および酒気帯び運転は,飲酒をして自動車やバイクを運転した場合に成立する犯罪です。酒気帯び運転は,軽車両を除く車両等を運転した者を対象としているため,自転車には適用されません。

「酒酔い」は,アルコールの影響により正常な運転ができない恐れがある状態をさし,運転者が歩行困難な状態であるか,問題なく受け答えができる状態かといった事情等を考慮して警察官が判断することになります。

「酒気帯び」は,アルコール検知器を用いた検査により,血中1ミリリットル中0.3ミリグラム以上のアルコール量が検出された場合,または呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコール量が検出された場合をいいます。

また,危険運転致死傷罪における「危険運転」とは,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた場合をいいます。

もし飲酒運転をしてしまった場合は,飲酒後に運転におよんでしまった目的や飲酒量,被疑者の交通違反歴などを考慮して酌むべき事情があるのであれば,そのような事情を慎重に検討し,裁判所に対し罰金や執行猶予つきの判決を求める適切な主張,立証を行っていくことになります。

飲酒運転は許されない行為ですが,自ら犯してしまった過ちに正面から向き合って反省し,断酒会に参加するなど反省を形にして裁判所に伝えれば,寛大な判断をしてもらえる可能性があります。

差入れ [さしいれ]

刑事施設に拘束されている者に対して,生活を送るうえで必要な日用品等を渡すことをいいます。

誰でも差入れをすることはできますが,直接本人に渡すことはできず,刑事施設の係員を通して渡すことになります。また,郵送による差入れも可能です。

現金,日用品,書籍などを差入れることができますが,自殺防止,施設管理の観点から紐状のものがついた洋服,5冊以上の本等については持ち込みが制限されていますし,食料品の差入れをすることもできません。

参考人 [さんこうにん]

犯罪の捜査のために,捜査機関から取調べを受ける被疑者以外の者をいい,被害者,目撃者,重要な情報を持っている者,鑑定人などがこれに当たります。

参考人には,刑事訴訟法上,被疑者と異なり黙秘権の告知が不要です。しかし,第一発見者等が参考人として捜査機関の取調べを受けるうちに,嫌疑が強くなり,本人が自白することが時々あります。そこで,重要な参考人には黙秘権の告知がなされ,捜査機関からの取調べに対し,十分な防御活動ができるようにしなければなりません(刑事訴訟法198条2項)。

自救行為 [じきゅうこうい]

法律上,保護に値する利益を侵害された者が,法律上の適切な手続に依らずに,自力でその回復を図る行為をいいます。自力救済ともいいます。

この自救行為を公に認めると,最終的に力の強い者が利益を独占してしまい,社会秩序を維持することが困難になるため,刑法上は許されていません。ただし,ある一定の条件を満たした場合にのみ,例外が認められ,犯罪にならないと解されるのが一般的です。

その条件とは,(1)法益に対して違法な侵害があること(権利に対する侵害),(2)正規の手続では被害の回復が著しく困難であること(被害回復の緊急性),(3)自らの法益を保全・確保が目的であること(自救の意思),(4)その行為が,社会通念上,相当かつ必要な範囲であること,の4点です。

裁判例も上記一定の条件下での自救行為につき,違法性なしとする余地を認めています。

時効 [じこう]

刑事事件においては,一般に犯罪が終わった時から一定期間をすぎると公訴が提起できなくなるという「公訴時効」をいいます。

公訴時効が認められる根拠は,一般的に時の経過に伴い被害感情が薄れ,犯罪の社会的影響力が弱くなること,また時の経過に伴い証拠等が失われ,適正な裁判の実現が困難になることにあるとされています。

公訴時効については,平成22年に改正がされ,「公訴時効期間の延長(たとえば,強制わいせつ致死罪,強姦致死罪については30年)および人を死亡させた罪であって,法定刑の最高が死刑に当たる罪」(たとえば,殺人罪,強盗殺人罪)については公訴時効が廃止されました。公訴時効が成立すると,免訴判決が言い渡され,犯人は刑に服する必要がなくなります。

自首 [じしゅ]

犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前(犯罪の発生自体が未発覚の場合も含む)に,犯人が捜査機関に対して,自発的に自分が行った犯行を申告し,その処分にゆだねることをいいます。

自首をした者は,その刑が減軽される場合があります。もっとも,日常的な用法では,「Aが犯人で,警察がAを追っている」という場面で,Aが警察に出頭する場合も「自首」ということがありますが,刑法上の自首は,「犯罪事実が全く捜査機関に発覚していない場合」または,「犯罪事実は発覚しているが,その犯人が誰であるか全く発覚していない場合」にのみ成立します。そのため,自首が成立する期間は意外と短いことになります。

事情聴取 [じじょうちょうしゅ]

警察や検察などの捜査機関が,犯罪捜査のために必要があるときに行う任意捜査のひとつです。捜査機関は,逮捕または勾留される前の被疑者(いわゆる容疑者)に対して,任意で取調べをすることができます。この任意取調べを一般的に事情聴取と呼ぶことがあります。

任意での取調べを受けるわけですから,いつでも退去することができ,また,取調べに対して供述するかどうかも任意であり,黙秘することも可能です。なお,犯罪の被害者や事件当事者以外の参考人などから事情を聞く場合にも事情聴取という言葉が使われます。

私選と国選 [しせんとこくせん]

刑事手続に際して被疑者に付く弁護人の種類をさし,私選は「私選弁護人」のことを,国選は「国選弁護人」のことをいいます。

私選弁護人とは,刑事事件において被疑者や被告人,親族などが選任する弁護人のことをいい,費用は弁護人との間の委任契約により依頼者が支払うことになります。いっぽう,国選弁護人とは,被疑者や被告人が貧困などの理由で私選弁護人を選任することができない場合に,国が選任しその費用で付される弁護人のことをいいます。

国選弁護人の場合,国が名簿の中から機械的に選任するため,自ら弁護人を選ぶことはできません。また,国選弁護制度が,貧困などにより弁護人を付けられない者にも弁護人を付け,その利益を守ることを目的としていることから,おおむね50万円以上の経済力を有している場合は,原則として国選弁護人を選任することはできません。

私選弁護人は,国選弁護人とは異なり,逮捕前や逮捕されてしまった時点で,すぐに付けることができます。刑事事件においては,逮捕などにより,身体を拘束されてからどれだけ素早く弁護人が動けるかが,その後の事件処理の結果に大きく関わってくるため,この点は大きなアドバンテージになります。

なお,権限および職務については,私選弁護人と国選弁護人との間に違いはありません。

私選弁護人 [しせんべんごにん]

私選弁護人とは,刑事事件において被疑者や被告人,親族などが選任する弁護人のことをいい,費用は弁護人との間の委任契約により,依頼者が支払うことになります。

国が選任し,その費用で付される国選弁護人と違い,費用負担は必要となりますが,逮捕前や逮捕された時点でいち早く付けることができ,また任意で弁護士を選ぶことができるなど,さまざまなメリットがあります。

なお,国選弁護制度が貧困などにより弁護人を付けられない者にも弁護人を付け,その利益を守ることを目的としていることから,おおむね50万円以上の経済力を有している場合は,原則として私選弁護人を付けることになります。

なお,権限および職務については,私選弁護人と国選弁護人との間に違いはありません。

示談 [じだん]

示談とは,法律上の問題をめぐる紛争について,裁判を行わず,その当事者同士が話し合いで解決することをいいます。

窃盗や傷害事件など被害者がいる犯罪の場合,被害者に対して金銭などによる適切な被害弁償を行い示談を締結することは,その後の事件処理に大きな影響を与える可能性があります。

たとえば,窃盗事件において,被害者に対し金銭をもって被害弁償を行ったり,謝罪を行うことにより,被害者の処罰感情が和らぎ,結果として示談を締結することができれば,不起訴になる可能性もあります。不起訴になれば前科はつきません。

仮に,起訴されて刑事裁判にかけられるまでに示談が締結できなかったとしても,裁判が開始された後に示談が締結できれば,判決の量刑を決める際に被告人にとって有利に扱われる可能性もあります。このように,刑事事件において示談が締結できるように行動することは,重要な弁護活動のひとつです。

実況見分 [じっきょうけんぶん]

実況見分とは,警察などの捜査機関が住居の管理者や物の所有者の承諾を得て行う,場所や物の存在,状態などを調べる捜査のことをいいます。

たとえば,ひき逃げの交通死亡事故において,逃走した自動車のタイヤ痕や塗装片を現場で調査する場合や,殺人事件において,現場となった被害者宅で凶器や血痕を探したり,被害者と加害者の犯行時の位置関係を調査する場合をいいます。

実況見分の結果は警察によってまとめられ,実況見分調書として証拠化されます。実況見分調書は文章だけではなく,通常図面や写真なども添付して作成されます。

実刑 [じっけい]

実刑とは,執行猶予が付されていない判決の刑罰のことをいいます。

実刑判決がなされ確定すると,ただちに刑務所等に収容されることになります。保釈されている場合でも実刑判決により保釈の効力はなくなり,判決で定められた期間服役することになります。

また,罰金刑の場合には,実刑判決の確定により罰金を納めることになります。殺人や強姦などの重大な犯罪を犯した場合は,初犯であっても実刑判決がなされる可能性はあります。

執行猶予 [しっこうゆうよ]

執行猶予とは,裁判所が有罪判決で刑の言い渡しを行う場合に,その刑の執行を一定期間猶予する制度をいいます。

実刑判決がなされ確定すると,ただちに刑務所等に収容されることになります。これに対し,執行猶予の付いた判決であれば刑務所に行く必要はありません。

仮に,被告人に懲役2年,執行猶予3年という判決が言い渡された場合,被告人は刑務所へは行かず,そのまま社会復帰することができます。このように,執行猶予が付くかどうかは,刑務所に行くかどうかという非常に大きな分かれ目なのです。

そのため,弁護人は起訴された後は執行猶予の付いた判決となるよう,最善の弁護活動を行います。

ただし,執行猶予期間中に他の犯罪を行い,裁判で有罪とされてしまうと,執行猶予は原則として取り消され,刑務所へ行かなくてはなりません。この場合,執行猶予の付いた判決において言い渡された分の懲役に加えて,他の犯罪行為について言い渡された分も加算されるため,場合によっては長期間服役しなければならなくなります。

執行猶予と実刑 [しっこうゆうよとじっけい]

裁判を経て下された有罪判決であるという点で,実刑判決と執行猶予付判決は共通します。

しかし,実刑判決の場合は,判決が確定するとただちに刑務所等に収容されることになります。つまり,保釈されていても実刑判決により保釈の効力はなくなり,判決で定められた期間,服役することになります。

これに対し,執行猶予付判決であれば刑務所に行く必要はありません。仮に,被告人に懲役2年,執行猶予3年という判決が言い渡された場合,被告人は刑務所へは行かず,そのまま社会復帰することができます。

このように,執行猶予が付くかどうかは,刑務所に行くかどうかという非常に大きな分かれ目となります。そのため,弁護人は執行猶予が付くよう,最善の弁護活動を尽くします。

ただし,執行猶予期間中にほかの犯罪を行い,裁判で有罪とされてしまうと,執行猶予は原則として取り消され,刑務所へ行かなくてはなりません。この場合,執行猶予付判決において言い渡された分の懲役に加えて,執行猶予中に犯した犯罪行為に関する刑期も加算されるため,場合によっては長期間服役しなければならなくなります。

したがって,執行猶予期間中は特に注意して生活する必要があります。

いっぽう,罪を犯すことなく執行猶予期間が経過すれば,言い渡された刑罰(上記の場合は懲役2年)を受けることはなくなります。

指定弁護士 [していべんごし]

指定弁護士とは,検察審査会による強制起訴制度および付審判制度において,裁判所から指定され検察官の職務を行う弁護士のことをいいます。

通常の刑事裁判では,検察官が被告人の有罪を立証すべく活動し,これに対し弁護人が被告人の有利な事情等を裁判で明らかにするために主張を行います。しかし,指定弁護士は,被告人の有罪立証するための活動を行います。

検察審査会による強制起訴制度とは,検察官がある事件について不起訴処分とし,この判断について民間から無作為に選ばれた審査員が不当と判断した場合,強制的に起訴がなされ,被告人は裁判にかけられる制度のことをいいます。

また,付審判制度とは,公務員の職権濫用等の罪について告訴または告発をした者が,検察官の不起訴等の処分に不服がある場合,裁判所に対して審判に付することを請求し,裁判所が相当と判断した場合,起訴したものとみなされ,公務員である被告人が裁判にかけられる制度のことをいいます。

指定弁護士は,裁判所が発付する令状があれば,逮捕や捜索をする権限も与えられています。

自動車検問 [じどうしゃけんもん]

自動車検問とは,警察が交通違反や一般犯罪の予防・検挙のために,進行中の自動車を停止させて必要な事項を質問することをいいます。

自動車検問には,(1)交通検問,(2)警戒検問,(3)緊急配備検問の3種類があります。

  • (1)の交通検問は,交通違反の予防や検挙を目的とするもので,運転者がスピード違反を犯した場合などに行われます。
  • (2)の警戒検問は,不特定の犯罪一般の予防や検挙を目的とするもので,蛇行運転の車など不審な自動車を停止させ,何らかの犯罪に関与していないかを調べる場合などに行われます。
  • (3)の緊急配備検問は,特定の犯罪の捜査を目的とするもので,銀行強盗事件が発生した際に,現場の周辺を走行する自動車を停止させ,その事件に関与していないかを調べる場合などに行われます。

このように,自動車を対象とする検問を自動車検問といいますが,歩行者など,対象を限定せず無差別に行う検問については「一斉検問」といいます。

自白法則 [じはくほうそく]

自白法則とは,捜査機関の威圧や暴行により,任意にされたものでない自白を証拠から排除する法則のことをいいます。

自白は古くから「証拠の王様」と呼ばれ,裁判において,被告人の自白を記載した調書は有罪に結びつく重要な証拠として扱われてきました。そのため,捜査機関は何とかして自白を獲得しようと,長時間にわたる取調べなど,過酷な取調べを行う傾向にあります。

このような取調べによりなされた自白は,虚偽のおそれがあったり,供述の自由を侵害するおそれがあることから,裁判において証拠から排除されることになります。

たとえば,「素直に自白すれば起訴猶予にする」という検察官の言葉を信用してなされた自白や,自宅に帰宅させないまま長時間にわたる取調べが行われた結果の自白などは,上記の理由により証拠から排除される可能性があります。

なお,このような自白を裁判において証拠とされないためには,弁護人などから差し入れられたノートに,取調べごとの様子や取調べ時間を記載し,証拠化しておくことが重要です。

司法解剖 [しほうかいぼう]

司法解剖とは,犯罪性のある死体やその疑いのある死体について,その死因や傷・凶器の状態,自殺か他殺かなどを究明するために行われる解剖のことをいいます。

解剖によって得られた情報が事件や犯人特定への手がかりとなることもあり,司法解剖は捜査において重要な役割を持っています。司法解剖を行う資格については詳細な規定がなく,法律上は,学識を有し,かつ捜査機関から依頼を受けた者であれば誰でも行えますが,実際には高度な専門知識を有する法医学者(医師)によって行われます。

司法解剖は多くの場合,遺族への心情的配慮からその了承を得たうえで行われます。しかし,捜査の必要性がある場合には,法律上,裁判所より発付された鑑定処分許可状があれば,遺族の了承がなくても強制的に司法解剖を行うことができます。

一般的に,殺人や傷害致死,ひき逃げによる交通死亡事故が疑われる場合には,司法解剖がなされる傾向にあります。

司法警察員 [しほうけいさついん]

司法警察員は,いわゆる巡査部長以上の警察官をさします。いっぽう,巡査および巡査長の階級にある警察官は司法巡査と呼ばれます。

司法警察員は,捜査に関して,通常逮捕状の請求権や告訴の受理権限など,司法巡査には認められていない特別な権限を与えられています。

司法巡査が捜査についての見習い段階であるのに対し,司法警察員は捜査について一人前となった職員だといえます。

司法警察職員 [しほうけいさつしょくいん]

司法警察職員には,一般司法警察職員と特別司法警察職員の二種類の職員がいます。一般司法警察職員は,いわゆる警察官をさし,特別司法警察職員は,麻薬取締官や海上保安官等をさします。一般司法警察職員は,刑事訴訟法に規定された捜査機関のひとつで,司法警察員と司法巡査があります。

刑事訴訟法では,司法警察職員を第一次的捜査機関,検察官を第二次的捜査機関としています。両機関はそれぞれ独立の機関として,対等・協力関係にありますが,検察官は必要に応じて司法警察職員に対し捜査についての指示を出すことができ,司法警察職員はこれに従わなければなりません。

指名手配 [しめいてはい]

指名手配とは,警察が逮捕状を発付されている被疑者を逮捕するための手段として行われるものです。逮捕状が出ているものの,被疑者の所在が不明である場合に行われ,通常は日本全国の警察に手配されます。

最近は指名手配をしても被疑者を逮捕することが難しくなっているため,懸賞金を掛け,被疑者に関する重要情報を提供し,逮捕の実現に貢献した者には賞金を支払う仕組みを採ることが多くなっています。

未成年の被疑者に対して指名手配をした場合には,原則として警察は少年の氏名や顔写真を一般に公開することはありません。ただし,凶悪事件など公開しなければ再び犯行におよぶ危険性がある場合には,実名と顔写真が公開されます。

指紋照合 [しもんしょうごう]

指紋照合とは,犯行現場から採取した指紋を,捜査機関が蓄積している指紋データに照らし合わせることで犯人を割り出すシステムのことをいいます。

犯行現場には,犯人の指紋や髪の毛など,犯人についての手掛かりが残されている場合があります。その中でも,指紋はすべての人間でそれぞれ違っており,一生変わることはありません。そのため,あらかじめ多くの人の指紋情報を蓄積しておけば,その情報を基に個人を識別し,犯人を特定することができます。

指紋が同一人物のものか見極める際には,いくつかの特徴点が一致しているかどうかを基準に判断することになります。警察庁の場合,刑事事件においては,12点以上の特徴点の一致があった場合に,同一人物の指紋であると判断しています。

準抗告 [じゅんこうこく]

準抗告とは,裁判や検察官,司法警察職員などの処分に不服がある場合に,その裁判や処分の取消または変更を所定の裁判所に求めることをいいます。

準抗告の具体例としては,裁判官の行った被疑者の勾留を認める裁判に対するものや,検察官が行った被疑者と弁護人との接見を制限する処分に対するものが挙げられます。

勾留については,準抗告により勾留をする必要または理由がないと判断されれば,勾留が取り消されることになります。勾留をするかどうかの決定は裁判官ひとりで行うものですが,勾留決定について不服があり準抗告を行った場合には,3人の裁判官の合議体で判断されることになります。

情況証拠 [じょうきょうしょうこ]

情況証拠とは,間接事実(主要事実を推認させる事実のこと)を証明する証拠のことをいいます。

たとえば,殺人事件の場合,被告人が被害者を殺害したことが主要事実となりますが,事件直前に被告人と被害者が激しく口論するのを目撃したという人物の証言は,「被告人の殺害行為」という主要事実を推認させる間接事実(事件直前に被告人と被害者が激しい口論をしていたという事実)を証明するものなので,情況証拠にあたります。

証拠開示 [しょうこかいじ]

証拠開示とは,裁判の当事者が集めた証拠を,相手方の当事者に閲覧させることをいいます。刑事裁判では,強大な組織と権限をもつ検察官側に証拠が集中するため,被告人・弁護人側から検察官側に証拠開示を求めることが一般的です。

裁判官が,裁判前に被告人が有罪であるかのような証拠を見てしまうと,裁判をするにあたって偏見をもって事件を見てしまうおそれがあるため,検察官から裁判所に対し事前に証拠が提出されることはありません。そのため,被告人や弁護人は,裁判所において証拠の内容を事前に知ることができません。そこで,検察官に対し,手持ち証拠の開示を求めていくことになります。

平成16年の刑事訴訟法改正により,公判前整理手続という制度が導入され,証拠開示の範囲が飛躍的に拡大しました。この手続により,検察官が取調べを請求する証拠だけでなく,その証拠の信用性を判断するための証拠や,弁護人などが明示した主張に関連する証拠についても開示を求めることができます。

上告 [じょうこく]

上告とは,高等裁判所の判断に不満がある場合に,最高裁判所に対して不服を申し立てることをいいます。

最高裁判所は上告審と呼ばれますが,上告審は法律問題のみを扱い,事実問題には原則として触れません(これを法律審といいます)。そのため,上告には理由が必要ですが,その理由は高等裁判所の判決が憲法に違反することおよび最高裁判所の判例に違反することなどの法律問題に限られ,事実に争いがある場合は含まれません。

ただし,刑事事件の場合,上告審は,上告理由がなくても,判決に影響をおよぼすような法令違反,著しい量刑不当,判決に影響をおよぼすような重大な事実誤認等がある場合は,高等裁判所の出した判決を取り消すことができるため,弁護人としてはそれもあわせて主張することが一般的です。

上告趣意書 [じょうこくしゅいしょ]

刑事裁判において,高等裁判所の判決に不服があり,最高裁判所に対して上告をする場合には,上告理由を明らかにする必要があります。上告趣意書とは,その理由を記載した書面のことをいいます。

最高裁判所が,事実問題には原則として触れず法律問題のみを扱うことから,上告理由についても,高等裁判所の判決が憲法に違反することおよび最高裁判所の判例に違反することに限られます。したがって,上告理由を明らかにする上告趣意書も,原則として事実問題ではなく,このような法律問題が記載されることになります。

上告審 [じょうこくしん]

第一審の裁判に不満があるときは,高等裁判所に不服を申し立てることができ,これを控訴といいます。同じように,高等裁判所の裁判に不満がある場合には,最高裁判所に不服を申し立てることができ,これを上告といいます。

この上告により裁判を行う裁判所を上告審といい,通常,刑事事件においては最高裁判所が上告審となります。

上告審は第一審や高等裁判所と異なり,法律問題のみを扱い,事実問題には原則として触れません。

証拠調べ [しょうこしらべ]

証拠調べとは,その名の通り,裁判所が,裁判の当事者である検察官や弁護人が集めた証拠を取り調べることをいいます。

裁判において,起訴状朗読などの冒頭手続が終わると,証拠調べが始まります。まず,検察官が事件の全体像やそれを裏付ける事実をどのような証拠に基づいて証明するかを示す冒頭陳述を行います。

つぎに,事件によっては,弁護人も弁護側が考える事件の全体像などを示す冒頭陳述を行います。殺人事件であれば,被告人には犯行時に殺意がなかったことを主張したり,正当防衛であることや,アリバイがあることを主張し,それを証明するための証拠の取調べを請求します。

その後,双方が取調べを申請した証拠について相手方が意見を述べ,原則として同意されればその証拠が裁判所によって調べられることになります。

上申書 [じょうしんしょ]

上申書とは,裁判所や捜査機関などに対して,法律上の所定の手続によらずに申立や報告を行う書面のことをいいます。

たとえば,保釈を請求する際に,被告人が逃亡したりしないように,親族がしっかりと監督する旨の上申書や,弁護人が独自に見つけ出した,被告人にとって有利な目撃者の証言をまとめた上申書などが挙げられます。

なお,上申書には定められた書式はありません。

証人尋問 [しょうにんじんもん]

証人尋問とは,証人が裁判官に対し,自己の経験した事実を供述し,裁判の証拠とすることをいいます。

刑事裁判では,被告人にとって有利な情状を明らかにするために,弁護人が,被告人の家族や職場の上司に,被告人の性格や勤務態度についてや,今後はしっかりと監督していくことなどを法廷で語ってもらうことがありますが,これは弁護人が証人である家族や職場の上司に証言してもらうものであり,証人尋問にあたります。

弁護人が申請した場合,証人尋問は原則として,弁護人,検察官,裁判官の順で行われるため,証人は弁護人だけでなく,検察官や裁判官からも質問を受けます。

少年 [しょうねん]

少年法における少年とは,20歳未満の者をさします。また,「少年」といっても男女は問いません。少年の場合,犯罪を行っても原則として成人のように懲役刑などの刑罰を受けることはなく,家庭裁判所の審判にかけられ,保護観察や少年院送致などの処分を受けることになります。

これは,成人の刑事事件が罪を犯した人に対し刑罰を科す手続であるのに対し,少年事件は,少年に対し刑罰を科すのではなく,少年の健全な成長や発達を促す働きかけが必要であるという考え方があるためです。ただし,凶悪な事件などの場合,少年であっても成人と同様に刑事裁判にかけられ,懲役や禁固などの刑罰を受けることもあります。

なお,「少年」の定義は法律によって異なります。上記の通り,少年法では20歳未満の者をさしますが,児童福祉法では小学校就学の始期から,満18歳に達するまでの者をさします。

また,各都道府県が定める条例では,18歳未満という意味で「青少年」という用語が用いられることもあります。

少年院 [しょうねんいん]

少年院とは,家庭裁判所の審判において少年院送致の処分を受けた者を収容するための矯正教育施設のことをいいます。

少年院には以下の4つの種類があります。

  • (1) 初等少年院:心身に著しい故障のない,おおむね12歳以上16歳未満の者を収容
  • (2) 中等少年院:心身に著しい故障のない,おおむね16歳以上20歳未満の者を収容
  • (3) 特別少年院:心身に著しい故障はないが,犯罪傾向の進んだ,おおむね16歳以上23歳未満の者を収容
  • (4) 医療少年院:心身に著しい故障のある,おおむね12歳以上26歳未満の者を収容

このように,少年院は,少年の年齢や非行傾向,心身の状態によって区分される,男女別の施設となっています。

少年院では,少年を社会生活に適応させることを目標として,少年に対し矯正教育を受けさせることになっており,生活指導や義務教育科目の指導,職業訓練などが行われ,少年は規律ある生活を送ることになります。

少年審判 [しょうねんしんぱん]

少年審判とは,家庭裁判所で行われる非行少年の事件に対する審判のことをいいます。

少年審判は,通常の刑事裁判と異なり,原則として非行事実に対する懲役刑などの刑罰は加えられず,保護観察や児童自立支援施設送致,少年院送致などの保護処分がなされることになります。

このように,成人が起こした事件と異なる扱いがなされるのは,現在の少年法が,少年については,過去の非行を取り上げてこれを罰するよりも,本人の将来を考え,これに保護的な処置を講じるのが妥当であると考えているためです。

非行事実に争いがない場合,通常であれば審判は1回のみで終わり,所要時間は1時間程度です。しかし,非行事実に争いがあったり,凶悪な事件の場合には,複数回の審判が開かれることもあります。

また,少年審判は,成人に比べて未発達な少年への影響を考慮して非公開で行われますが,被害者や遺族には傍聴が認められています。

少年法 [しょうねんほう]

少年法とは,少年の健全な成長・発達を期待し,非行のある少年に対して性格の矯正や生活環境等の調整に必要な処分を行うための手続などを定めた法律のことをいいます。

少年法の理念は,非行を犯した少年には成人同様の刑事処分を下すのではなく,少年の将来を考え,原則として保護的な処分を行い,少年の健全な発達を促すことを目標とするものです。

そのため,通常の刑事裁判とは異なり,少年に対する審判は,公開による少年への悪影響を考慮して非公開で行われます。また,少年法では,少年の氏名や年齢,職業,住所,容貌等により,その者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事または写真を,新聞や雑誌等に掲載してはならないとされています。

贖罪寄付 [しょくざいきふ]

贖罪寄付とは,被疑者や被告人が犯してしまった過ちを償うために,自ら行う寄付のことをいいます。

覚せい剤所持事件や脱税事件など,被害者のいない犯罪を行った場合や,被害者の存在する犯罪でも被害者に示談に応じてもらえない場合,反省や謝罪の気持ちを明らかにするために,被疑者や被告人が自らの財産の一部を寄付します。

贖罪寄付は,覚せい剤などの薬物事件の場合は薬物依存者の自助グループに行われることが多いほか,法テラスや犯罪被害者の支援団体,消費者被害者の支援団体など,公的活動を行う団体に対して行われることが一般的です。

贖罪寄付をしたことは,刑事裁判において被告人に有利な情状のひとつとして考慮されますが,決定的なものではありません。

職務質問 [しょくむしつもん]

職務質問とは,警察官が,何らかの犯罪を犯したか,もしくは犯そうとしている疑いのある者や,それらについて知っていると思われる者を停止させ,質問することをいいます。

たとえば,夜中に自転車に乗っている際に,警察官に停止を求められ,住所や行き先を質問されることなどが挙げられます。職務質問をきっかけとして犯罪が発覚することは多くあります。

職務質問は強制ではなく任意であるため,必ずしも応じる必要はありませんし,応じなくても何ら違法ではありませんが,頑なに拒否すると不審に思われ,警察署等への任意同行を求められることもあります。

また,職務質問に付随する行為として,所持品を検査することが裁判所の判例により認められています。

所持品検査 [しょじひんけんさ]

所持品検査とは,警察官が,何らかの犯罪を犯した,もしくは犯そうとしている疑いのある者や,それらについて知っていると思われる者に対し停止を求め質問を行う際に,バッグや衣服のポケットの中にある所持品を検査することをいいます。

職務質問と同じく,所持品検査は任意の処分であるため,強制の処分である捜索と評価されるような態様で行うことは許されません。

所持品検査を拒否して立ち去ろうとした場合,警察官は腕をつかんだり,前に立ちはだかったりすることがあります。この場合,警察官の手を振りきったり,警察官の体を押したりすると,暴行により警察官の職務を妨害したとして,公務執行妨害罪(刑法95条1項)により現行犯逮捕される可能性があります。

そのため,立ち去る場合にも決して手を出したりせず,口頭で「手を放してください」と言うなど,冷静に対応する必要があります。

署名指印 [しょめいしいん]

被疑者や被告人などが警察等の捜査機関において取調べを受けた際,その供述を基に調書が作成されます。この調書は取調べの際に警察側で作成し,取調べを受けた者の署名指印をもって完成しますが,署名指印の前に,警察側は取調べを受けた者に対し調書を閲覧させた上でその内容を読み聞かせます。そして,内容に問題がないようであれば署名指印を行うことになります。

この署名指印により,調書の内容に間違いはないということを本人自身が保証することになりますし,この調書は裁判において証拠として用いられる可能性があるため,署名指印は納得した上で慎重に行う必要があります。

仮に調書の内容に間違いがある場合,取調べを受けた者は,取調官に対しその訂正を求めたり,署名指印を拒否することができます。

調書は裁判において重要な証拠として扱われますし,細かいニュアンスや言い回しにより,調書の内容や意味は大きく違ってきます。そのため,調書の内容に間違いがある場合には何度も訂正を求め,納得するまでは決して署名指印をしないことが重要です。

書類送検 [しょるいそうけん]

書類送検とは,刑事手続において,司法警察員が被疑者を逮捕しなかった場合や逮捕後に釈放をした場合に,その後被疑者の身柄を拘束しないまま事件を検察官に送致することをいいます。

法律上,司法警察員が犯罪の捜査をしたときは,速やかに書類および証拠物とともに事件を検察官に送致しなければなりません。そのため,被疑者が逮捕された場合には,関係書類等とあわせて被疑者の身柄も検察官に送られることになりますが,被疑者を逮捕する必要がない事件や,被疑者が送致する前に死亡している事件などでは,関係書類や証拠物のみを検察官に送致することになります。

親告罪 [しんこくざい]

親告罪とは,告訴がない限り公訴を提起することができない犯罪のことをいいます。つまり,親告罪の場合,告訴がなければ被疑者は裁判にかけられることはありません。

なお,告訴とは,犯罪の被害者等が,警察などの捜査機関に対し犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求めることをいいます。

親告罪の例としては,親族間の窃盗罪や詐欺罪,強制わいせつ罪や強姦罪などが挙げられます。親族間の犯罪については,親族間の問題への介入はできる限り抑えるべきであること,また,性犯罪については,事件が公になることにより被害者が不利益を被るおそれがあることから親告罪とされています。

親告罪の場合,被害者が告訴を取り下げれば,裁判にかけられることはなく,処罰されることもなくなります。そのため,親告罪にあたる犯罪を犯してしまった場合には,裁判手続に進む前に,被害者との示談をするなどして告訴を取り下げてもらうことが重要です。その際,警察などに身柄が拘束されている場合はもちろん,逮捕されていない場合でも,加害者が被害者と直接交渉するのは困難が予測されるため,弁護人が被害者との交渉を行う場合が一般的です。

なお,告訴を行うには時期的な制限があり,犯人を知った日から6ヵ月を経過すると,原則として告訴をすることはできません。ただし,性犯罪については,被害者が精神的ショックにより告訴をするまでに時間を要すると考えられることから,告訴期間に制限はありません。

心神喪失 [しんしんそうしつ]

心神喪失とは,精神の障害により物事の善悪を判断する能力を欠いているか,または物事の善悪を判断することはできるものの,その判断に基づいて自己の行為を制御する能力を欠いている状態をいいます。犯罪行為の時点で被告人が心神喪失の状態にあったと判断された場合,被告人の行為は罰せられないことになります(刑法39条1項)。

被告人が心神喪失の状態にあったのかは,被告人の犯行当時の行動や精神鑑定の結果,精神科医の意見などを基に裁判官が判断します。

身体検査 [しんたいけんさ]

身体検査とは,検証の一種であり,検証の対象が人の身体である場合をいいます。

なお,検証とは,場所や物,人の身体につき,五感の作用により,その内容や形状を認識する処分のことをいい,たとえば警察などが被疑者宅の捜索時に部屋内部の写真を撮影することは検証にあたります。

被疑者によっては覚せい剤等の違法薬物を衣服の中に隠すことがあります。この場合,捜査機関は身体検査により被疑者を裸にして違法薬物を隠していないか検査することができます。

ただし,この検査は被疑者に対する重大なプライバシー侵害にあたるため,あらかじめ裁判所が発付する令状がなければ行うことはできません。

人定質問 [じんていしつもん]

刑事裁判においては,検察官が起訴した人物と法廷に出廷してきた人物とが別人であってはなりません。そのため,裁判を始めるにあたり,裁判長は被告人に対し,氏名や生年月日,本籍,職業等を尋ねることにより人違いでないかを確かめます。これを人定質問といいます。

身代わりとして裁判に出廷するなど,人違いのまま判決が言い渡されて確定した場合,その判決は実際に出廷し被告人として振る舞った者に対して効力を持つことになり,これを修正するためには再審を行う必要があります。

ストーカー規制法 [すとーかーきせいほう]

ストーカー規制法とは,しつこいつきまとい等のストーカー行為を規制し,処罰する法律で,正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といいます。

日本では,かつてストーカー行為は軽犯罪法や迷惑防止条例でしか取り締まることができませんでしたが,それでは被害者を保護するのに不十分であるとして,平成12年にストーカー規制法が制定されました。

この法律は,ストーカー行為そのものを罰するほか,公安委員会のストーカー行為禁止命令に違反した場合にも罰することとしています。ストーカー行為については6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

また,警察署長などは,ストーカー行為を行った者に対し,ストーカー行為を繰り返してはならない旨を警告することができ,警察の警告に従わない場合には,都道府県の公安委員会がストーカー行為禁止命令を出すことができます。それに違反した場合は,1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

ストーカー行為 [すとーかーこうい]

ストーカー行為とは,特定の者に対し,恋愛や好意の感情またはそれが充たされなかったことに対する恨みの感情から,つきまといや待ち伏せなどの行為を繰り返すことをいいます。

代表的な行為としては,自宅や職場での待ち伏せや,度重なる無言電話,常に行動を監視していることを告げたり,汚物等を送りつけることなどが挙げられます。

最近では,インターネット上で被害者を誹謗,中傷する文章や画像を掲示したり,メールを1日に何百通も送りつけるネットストーカー行為が増えています。

なお,被害者と加害者の関係は,元交際相手や元夫婦というケースが少なくありません。

正当防衛 [せいとうぼうえい]

正当防衛とは,突然相手方から違法な侵害を受けた場合,自己または他人の利益を守るためにやむを得ずにする防衛行為のことをいいます。

たとえば,相手方から刃物で刺されそうになったために相手方の顔を殴るといった場合や,相手方が痴漢行為におよんだために相手方の手首を掴んでひねるといった場合には,違法性がなくなるので正当防衛が成立します。

法律上,正当防衛が成立するための要件は4つです。(1)突然の違法な侵害(急迫・不正の侵害といいます)に対して行われたものであること,(2)自己または他人の利益を守るために行われたものであること,(3)やむを得ずにした行為であること,(4)防衛の程度を超えていないことです。

(3)もしくは(4)の要件のいずれかが欠ければ正当防衛ではなく,過剰防衛が成立します。また,(1)あるいは(2)を欠くときは,過剰防衛にもならず,暴行罪や傷害罪などの犯罪が成立します。

正当業務行為 [せいとうぎょうむこうい]

正当業務行為とは,形式的には犯罪行為にあたるものの,法律上,業務として正当と認められているために違法とはならない行為のことをいいます。

たとえば,医師が外科手術をする場合,メスなどで体の皮膚を切ったりする行為は,形式的にみれば傷害罪にあたるように思えます。しかし,医師がメスなどを用いて外科手術をすることは,法律で医師の正当な業務として認められているため,傷害罪は成立しません。

また,ボクサーやプロレスラーなどの格闘技の選手が試合で対戦相手を殴るなどしてケガを負わせても暴行罪や傷害罪が成立しないのは,その行為が正当業務行為にあたるからです。

ほかにも,消防士が消火活動の際に建物などを破壊しても正当業務行為として建造物損壊罪は成立しませんし,刑務官が被告人の死刑を執行しても正当業務行為として殺人罪は成立しません。

接見 [せっけん]

接見とは,勾留等により身体を拘束された被疑者または被告人が,家族や弁護人など外部の者と面会することをいいます。その際,家族や弁護人は警察の留置施設や拘置所などに赴き,身体を拘束されている被疑者や被告人と面会することになります。

弁護人による接見は,家族や友人による接見に比べ非常に自由度が高くなっています。たとえば,家族等の場合,接見できるのは通常平日の9時から17時までで,1回15分までと制限されていることが多いのですが,弁護人の場合,平日のみならず土日や祝日,早朝や深夜も接見が可能であり,1回あたりの時間も制限されていません。さらに,接見禁止がついてしまうと,弁護人以外の家族・友人等は面会することができません。

また,家族等の場合,接見の際には警察官等が立ち会いますが,弁護人の場合は誰も立ち会うことは認められておらず,被疑者や被告人は安心して心の内を話すことができます。

このように,弁護人による接見の自由度が高いのは,憲法により被告人等には弁護人を選任する権利が保障されており,適切な防御をするために弁護人と打ち合わせる必要性が高いためです。

弁護人は,接見の自由を活かして,今後の手続の流れや取調べへの対応方法などについてのアドバイスを行えるほか,家族等からのメッセージを伝えるといった方法で,被疑者や被告人の孤独や不安を解消することができます。

接見禁止 [せっけんきんし]

接見禁止とは,検察官の請求または職権により,裁判所が被疑者や被告人と弁護人以外の者との接見や書類の受け渡しを禁じることをいいます。接見禁止決定は,逃亡または証拠を隠滅するおそれがある場合になされます。

被疑者が犯罪事実を否定している場合や,組織的な犯罪,ほかに共犯者がいる事件では,家族等との面会を通して証拠隠滅がなされるおそれがあるとして,検察官の請求により家族等と被疑者との面会を禁じる接見禁止決定がなされる傾向にあります。

接見禁止決定に不服がある場合には,弁護人を通じて,接見禁止決定に対する不服を申し立てることができます。多くの場合,家族等は事件とは無関係であり,家族等を通して証拠隠滅がなされることは考えられません。これらの事情を主張して不服申立が認められれば,家族等も被疑者に面会することができるようになります。

なお,弁護人は接見禁止の対象にはならないので,接見禁止がなされていても接見することができます。

接見禁止一部解除 [せっけんきんしいちぶかいじょ]

接見禁止一部解除とは,弁護人の申立により,裁判所が職権で接見禁止の対象から特定の者を除外するなど,接見禁止を限定的に解除することをいいます。

接見禁止がなされると,被疑者や被告人と弁護人以外の者との接見や書類の受け渡しが禁じられます。この接見禁止を一部解除することにより,弁護人以外の者との接見や書類の受け渡しが可能になります。

たとえば,「○月○日の9時から17時までの間の30分間,被疑者と被疑者の両親との接見を認めてほしい」といった申し出を弁護人側で行うことにより,裁判所が職権でそれを認める場合などが挙げられます。また,申し出が認められることにより,家族との手紙のやり取りが可能になる場合もあります。

接見交通権 [せっけんこうつうけん]

接見交通権とは,身体の拘束を受けている被疑者または被告人が,弁護人など外部の者と面会したり,書類や物品の受け渡しをすることができる権利のことをいいます。接見交通権は,被疑者や被告人のみならず,弁護人をはじめとした接見しようとする外部の人に対しても認められる権利です。

接見交通権は広く認められるべき権利ですが,検察官らは,「捜査のため必要があるとき」には,被疑者や被告人と弁護人らの接見の日時や場所,接見時間を制限することができます(これを接見指定といいます)。

これは,外部の者による証拠隠滅等を防ぐために接見交通権をできるだけ制限したい捜査機関側と,被疑者や被告人の権利を守るために自由な接見交通権を求める弁護人側との調整を図るための規定です。

ただし,接見交通権が憲法で保障された重要な権利である以上,接見は原則として自由に認められるべきであり,接見を制限する要件である「捜査のため必要があるとき」は厳格に判断されなければなりません。

送検 [そうけん]

法律上,司法警察員が犯罪の捜査をしたときは,速やかに書類および証拠物とともに事件を検察官に送致しなければなりません。これを送検といいます。逮捕により被疑者の身体が拘束されている場合には,被疑者の身体も検察へ送られることになります。

これに対し,被疑者を逮捕する必要がない事件や,被疑者が送致する前に死亡している事件などでは,関係書類や証拠物のみを検察官に送致することになりますが,これも送検の一種であり,書類送検といいます。

検察官に送致されると,それから24時間以内に検察にて取調べ等を受け,釈放されるか引き続き身体を拘束すべく勾留請求がなされるかが決定されます。

捜索差押え [そうささしおさえ]

捜索差押えとは,一定の場所や物,人の身体について,物または人の発見を目的として行い,事件に関係あると思われる物等を発見した場合,これを強制的に確保する処分のことをいいます。

たとえば,警察が覚せい剤を持っていると疑われる被疑者の自宅を捜索し,発見した覚せい剤を確保したりする場合などが挙げられます。

捜索差押えは,対象者のプライバシー権を侵害するものなので,あらかじめ裁判所が捜査のため必要があると判断して発付した令状が必要になります。この令状には捜索する日時や場所や物が記載されており,令状に記載がない場所の捜索や事件に関係のない物の差押えは認められません。

このように,捜索差押えをする場合は原則として裁判所の発付する令状が必要になります。ただし,警察や検察官が被疑者を逮捕する場合には,例外的に逮捕した現場や被疑者の衣服等を令状なしで捜索することができます。これは,逮捕の現場には証拠が存在する可能性が高いことや,逮捕により被疑者が不利益を被っている以上それに比べて不利益の度合いが少ないことが根拠とされています。

即決裁判 [そっけつさいばん]

即決裁判とは,罰金または執行猶予が見込まれる比較的軽微な事件で,事案としても明白な場合に,起訴と同時に検察官が申し立てることにより採られる手続です。

即決裁判手続では,原則としてその日のうちに裁判が終了し,判決が言い渡されます。この手続により懲役または禁錮の判決を言い渡すときは,必ず執行猶予が付けられることになります。なお,審理にかかる時間は通常30分ほどです。

この手続は,被告人にとって,裁判手続から早期に解放されるというメリットがありますが,判決で認定された事実に対しては上訴ができないというデメリットもあります。したがって,メリットおよびデメリットを踏まえて適切な判断をするためにも,被疑者本人の同意に加えて,弁護人が即決裁判手続を採ることに書面で同意または異議がないことを表明していなければ,この手続を採ることはできません。

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