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た行 | 刑事弁護 用語集

た行の用語

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第1回公判期日 [だいいっかいこうはんきじつ]

第1回公判期日とは,公開の法廷で行われる第1回目の刑事裁判のことをいいます。

検察官の起訴により裁判が請求され,これを裁判所が受理し,裁判長により第1回公判期日が指定されます。第1回公判期日は,公判前整理手続が開かれない場合は,起訴日から通常1ヵ月から1ヵ月半後ころに指定されます。

公判前整理手続が開かれた場合には,その手続が終了するまで第1回公判は開かれません。公判前整理手続は,犯罪事実を否定している事件や,事実関係や証拠関係が複雑な場合に開かれますが,事案によっては半年から1年ほど続くこともあります。

犯罪事実を認めている事件の場合,通常,第1回公判期日では,起訴状に記載された被告人と出廷した者が同一人物かを確かめる人定質問や,検察官による起訴状の朗読,検察官や弁護人が提出した証拠の取調べ,被告人への質問,検察官による求刑,被告人にとって有利な情状などを述べる弁護人の弁論などが行われます。

逮捕 [たいほ]

逮捕とは,警察や検察などの捜査機関または私人が,被疑者の逃亡および証拠の隠滅を防ぐため強制的に身柄を拘束することをいいます。

逮捕は,逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがある場合に行われるので,そういったおそれがなければ,犯罪の疑いがあったとしても被疑者を逮捕することはできません。

逮捕は,被疑者の自由を奪う重大な処分なので,原則として裁判官が発付する令状が必要です。この方法による逮捕を通常逮捕といいますが,そのほかの逮捕として,令状の発付を待っている余裕のない場合に,令状なしで行われる現行犯逮捕や,とりあえず逮捕し,後から令状を発付する緊急逮捕があります。

いずれの逮捕も,原則として拘束時間は警察で48時間,検察で24時間の最大72時間となります。
なお,逮捕されてしまった場合,身柄を解放する手段はいくつかありますが,早期に身柄を開放するためには,できるだけ早い段階で弁護人による身柄の解放に向けた弁護活動を開始することが重要です。

逮捕前置主義 [たいほぜんちしゅぎ]

ある犯罪事実について被疑者の身柄を勾留する場合,必ず被疑者の逮捕を先行させなければなりません。これを逮捕前置主義といいます。

勾留に比べ逮捕は比較的短期間で終了しますが,いずれも犯罪事実の疑いがなければ行うことはできません。このように,長期間の身柄拘束である勾留を行う前に,必ず短期間の逮捕を先行させることにより,身柄拘束について,逮捕時点で行う第一段階のチェックと勾留時点で行う第二段階のチェックを行い,不必要な身柄拘束を避けるシステムが採られているのです。

逮捕中求令状 [たいほちゅうきゅうれいじょう]

逮捕中求令状とは,逮捕による手持ち時間(48時間)の間に捜査が終了し,勾留の要件も充たしていると考えられる場合などに,検察官が勾留請求をしないで起訴する際に起訴状に記載される名称のことをいいます。

その場合,裁判官が被告人に被告事件を告げ,これに関する陳述を聴き,職権で勾留するか判断します。勾留しない場合にはただちに釈放を命じることになります。

逮捕と刑務所 [たいほとけいむしょ]

逮捕とは,犯罪を行った疑いのある人について,逃亡や証拠を隠滅するおそれがある場合になされる処分です。被疑者が逮捕された場合,通常,警察署の留置施設や拘置所に身柄を拘束されて,取調べを受けることになります。

いっぽう,刑務所とは,法律などに違反したことにより裁判にかけられ,裁判の結果,懲役や禁錮などの刑罰に服することになった人を収容する施設です。留置施設や拘置所とは異なり,裁判を経て実刑が確定した者だけが収容されることになります。

したがって,逮捕されたとしても,裁判を経ていない状態であれば,留置施設や拘置所に入ることはあっても,いきなり刑務所に入ることはありません。

逮捕と前科 [たいほとぜんか]

前科とは,有罪判決により刑の言い渡しを受けた事実のことをいいます。
前科には,実刑判決だけでなく,罰金や科料も含まれます。また,執行猶予付き判決であっても有罪判決であることに変わりはないので,前科となります。前科については検察庁が作成,管理をしている前科調書に記載されることになります。

これに対し,逮捕とは,犯罪を行った疑いのある人について,逃亡や証拠を隠滅するおそれがある場合になされる処分です。したがって,逮捕されても,裁判により有罪判決の言い渡しを受けていない以上,前科が付くことはありません。なお,検察により不起訴の処分がなされた場合にも前科が付くことはありません。ですから,刑事弁護活動においては,まず不起訴処分の獲得を目指すことが重要になります。

逮捕と保釈 [たいほとほしゃく]

保釈とは,住居の限定や保証金の納付を条件として,勾留されている被告人の身柄の拘束を解くことをいいます。

保釈は,検察官の起訴後にはじめて請求できるものです。したがって,被疑者が逮捕や勾留されている段階では,法律上,保釈を請求することは認められません。

起訴される前の段階で身柄の拘束を解くためには,逃亡のおそれなどの要件を充たしていないことを理由に,勾留をしないよう働きかけたり,勾留に対する不服申立て(準抗告といいます)を行うといった方法が考えられます。また,起訴された後の段階では保釈を請求することが重要な弁護活動になります。

待命略式 [たいめいりゃくしき]

待命略式とは,道路交通法違反について,違反者が反則金を支払わなかったり,出頭の要求に応じなかったりする場合に,逮捕状により違反者を逮捕したうえで,逮捕中に検察官が略式命令を請求することをいいます。

なお,略式命令とは,簡易裁判所が,通常の裁判を開かずに,原則として検察官の提出した資料のみに基づいて罰金または科料を科す命令のことをいいます。

代用監獄(代用刑事施設) [だいようかんごく]

法律上,警察に逮捕された被疑者は,3日以内に裁判官が勾留を決定すると,法務省が管理する拘置所に移されることになっています。そこで約10日間(更に約10日間の延長が可能)身柄を拘束されます。しかし,実際には監獄法が「警察官署に附属する留置場は之(これ)を監獄に代用することを得」と定めているため,多くの場合,被疑者は拘置所ではなく警察の留置所に入れられたままになります。これが代用監獄制度です。

代用監獄制度は,一時的な拘置所の不足を補うために制度化されたものですが,現在もほとんどの事案でこの制度が用いられています。

なお,この代用監獄制度については,警察などの捜査機関が被疑者や被告人の身柄を確保し続けることは自白の強要につながると考えられるため,冤罪の温床として大きく批判されています。

痴漢 [ちかん]

痴漢とは,公共の場所で相手に羞恥心を抱かせたり,不安にさせることをいいます。具体的には,衣服の上から相手の胸や尻などに触れたり,ズボンやスカートの中に手を入れて下着などに触れたり,相手に自分の性器を触れさせるなどの行為をいいます。

一般的に被害者は女性,加害者は男性という場合が大半ですが,ごく稀に逆のケースもあります。飲酒などにより正常な判断ができない状態で痴漢行為をした場合でも,現在の司法では飲酒を理由として罪が認められなくなることはほぼありません。

被疑者が服の上から胸などを触った場合には各都道府県が定める条例違反となり,下着の中に手を入れたような場合には刑法上の強制わいせつ罪として処理される傾向にあります。

いっぽう,被害者の誤認等によって生じる痴漢冤罪も近年では大きな社会問題となっています。当事務所では,痴漢冤罪を防止するための弁護活動にも力を入れて取り組んでおります。

懲役 [ちょうえき]

懲役とは,裁判所によって言い渡される刑罰のひとつで,刑務所などの刑事施設に身柄を拘束し,強制的に所定の労働(刑務作業といいます)を科すものをいいます。

懲役には有期懲役と無期懲役とがあり,有期懲役の期間は1ヵ月以上20年以下ですが,加重する場合には30年まで延ばすことができます。これに対し,無期懲役の場合は期間に定めがなく,受刑者が死亡するまで身体を拘束することが可能ですが,刑期の途中で仮釈放される可能性もあります。

刑務所で行う刑務作業の中には,木工作業や洋裁,金属加工等の作業があります。これらの作業は,単に受刑者に苦痛を与えるのではなく,勤労意欲をかき立てたり,職業的技能や知識の習得などを目的としています。

なお,禁錮刑の場合も刑事施設に身柄を拘束されますが,懲役刑とは異なり刑務作業は科されません。

付添人 [つきそいにん]

付添人とは,少年事件が家庭裁判所に送致された際,少年の利益を守ったり,審判手続が適正に行われるように監視し,社会復帰ができるよう調整をはかるために少年およびその保護者に選任される者のことをいいます。

付添人は,少年が犯してしまった非行事実についての調査や証拠収集を行い,少年の生活環境の改善や反省の態度が家庭裁判所の審判に反映されるよう,裁判官や調査官に働きかけて説得する活動を行っていきます。

なお,弁護士以外の者を付添人に選任するためには家庭裁判所の許可が必要となります。

DNA鑑定 [でぃーえぬえーかんてい]

DNA鑑定とは,血液や口の中の細胞,体液,髪の毛などを検査し,その情報を基に個人を識別することをいいます。

理論上,DNA鑑定により被害者の身元が判明したり,被疑者の手掛かりをつかむことが可能となりますが,捜査機関が蓄積しているDNAのデータベースは,指紋などのデータベースに比べると件数が少ないため,必ずしも被疑者などの特定に至るとは限りません。

しかし,近年の科学技術の発達によりDNA鑑定の信用性は高まっています。最新のDNA鑑定により,数十年前に起きた事件で有罪判決を受けた者が再審において無罪を勝ち取るケースもあります。

当番弁護士 [とうばんべんごし]

当番弁護士とは,当番弁護士制度により派遣される弁護士のことをいいます。

当番弁護士制度とは,刑事事件で逮捕された被疑者が起訴前の段階であっても弁護士によるアドバイスを受けられるようになることを目的として,日本弁護士連合会により設置された制度です。具体的には,逮捕された人が警察を通じて,または家族や知人などが各地の弁護士会へ依頼することによって,当番弁護士による接見(面会)を受けられます。

接見においては,これからの手続の流れや取調べへの対応方法などのアドバイスを受けたり,弁護の依頼を行なうことができます。当番弁護士による初回の接見は無料ですが,引き続き弁護を依頼する場合には弁護士費用が必要となります。

取調べ [とりしらべ]

取調べとは,警察や検察などの捜査機関が,捜査対象となっている事件の被疑者や目撃者,被害者等に対し,経験した事実や状況を聞き取る捜査のことをいいます。

現在,警察や検察における取調べは完全な密室で行われており,その状況が録画,録音されたり,弁護人の立会いが認められることはほとんどありません。

このように,取調べが密室で行われているため,被疑者が取調官から虚偽の自白を強要をされたり,言ってもいないことを勝手に調書に記載されることがあり,冤罪の温床にもなっています。

取調べ監督官制度 [とりしらべかんとくかんせいど]

取調べ監督官制度とは,捜査部門以外の警察官によって,被疑者などの取調べが行われている取調室内の様子を監督する制度のことをいいます。

取調べ監督官制度は,取調べの際,「形だけ自白をすればすぐに釈放される」などと条件を示して強引に虚偽の自白を得たり,深夜や長時間におよぶ取調べを行ったり,威圧や暴行を用いて取調べを行うことを防止するために作られた制度です。

なお,監督者は,マジックミラー越しに取調べの様子を監督します。

取調べ全面可視化 [とりしらべぜんめんかしか]

警察や検察における取調べが完全な密室で行われてしまうと,被疑者が取調官から威圧や暴行により虚偽の自白を強要されたり,言ってもいないことを勝手に調書に記載されたりと,冤罪の温床になってしまう危険性があります。

このような状況を避けるための手段として挙げられるのが,すべての取調べ状況を録画,録音する「取調べの完全可視化」です。

2016年5月,改正刑事訴訟法の成立により,裁判員裁判対象事件の全過程の可視化が義務付けられました。現在の警察は,裁判員裁判対象事件において,例外を除いて「取調べの全面可視化」を試行しており,例外については,可視化が取調べの機能を阻害すると判断した場合としています。

また,警察庁の指針では,裁判員裁判対象以外の事件で逮捕された被疑者の取調べでも,対象事件に発展する見込みがある場合や,客観的な証拠が少なく,被疑者本人の供述が犯行の立証に重要となる場合は,全面可視化の対象としています。

弁護士  正木 裕美  [愛知県弁護士会]

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