刑事弁護に関する用語集 | 刑事事件の弁護士はアディーレ法律事務所

刑事弁護に関する用語集 あ行

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一部行為の全部責任 [いちぶこういのぜんぶせきにん]

ある犯罪を共同して行った場合に,例えそのものが犯罪の一部(例えば,人を殺した場合に,はがいじめにする行為)しか行っていなくとも,共同して犯した犯罪の結果全部につき責任を負うとの原則です。

犯罪を一部しか行っていない以上,自分の犯した一部についてのみ責任(例えば,はがいじめにしたのなら,暴行罪・逮捕罪の成立が考えられます)を負うようにも思えます。

しかし,共同して犯罪を行った者は互いに協力しあって特定の犯罪を行うのであるから,自分の犯した部分のみ責任を負うとするのでは起こした罪の責任を適切に問うことができません。

そこで,特定の犯罪につき互いにその行為を利用・補充しあって結果を生みだした以上すべての責任を負うべきであるとして,一部実行全部責任の原則が認められています。

違法収集証拠排除法則 [いほうしゅうしゅうしょうこはいじょほうそく]

証拠の収集手続が違法であった場合に,このような証拠を裁判において被告人を有罪とするための資料から排除する法則です。この法則は,法律上の明文はないものの,裁判所によって認められています。

証拠の収集手続きに違法がある場合とは,例えば逮捕状なしに被疑者を逮捕した場合や,被疑者が隠し持っていた覚せい剤を,裁判所の発付した令状なく押収する場合等が挙げられます。

捜査機関は,犯人を処罰するために,証拠の収集をその方法に何の制約も受けずに行うことができるわけではなく,国民の人権保障の観点から,法律で定められたルールに従った適正な捜査活動によって得られた証拠によってのみ被告人を有罪とすることができます。法律で定められたルールの代表的なものとしては,裁判所が被疑者・被告人の人権を保障するために捜査機関の行動を事前にチェックすることを要求する令状主義が挙げられます。

違法性阻却事由 [いほうせいそきゃくじゆう]

一見すると刑法の犯罪に該当するものにつき,社会の一般的な秩序に照らせばその行為が行われた具体的事情によっては犯罪が成立しないとする特別な事情をいいます。

刑法は,違法な行為を類型化し犯罪として記載しています。犯罪を類型化しているので,形式的には犯罪に該当するものの,行為のなされた具体的な事情によっては,実質的に違法性がないものも世の中にはたくさんあります。例えば,医師が手術をする行為も形式的に刑法の条文に当てはめれば傷害罪に該当します。しかし,かかる手術を傷害罪として処罰することは一般の方々の感覚からはかけ離れた対応です。

そこで,行為のなされた具体的な事情によっては違法性がないものとして,犯罪は成立しないとするため,刑法・裁判例で広く違法性阻却事由が認められています。

疑わしきは被告人の利益に [うたがわしきはひこくにんのりえきに]

被告人は,捜査機関によって犯罪を犯した者として責任を追及されているものの,裁判所において有罪が確定されるまでは無罪であるとの推定が働くことをいいます。

条文上の根拠としては,刑事訴訟法336条が「被告事件が罪とならないとき,又は被告事件について犯罪の証明がないときは,判決で無罪の言渡をしなければならない」と定めていることにあります。

刑事裁判においては,検察側が犯罪と犯人であることすべてにつき証明する責任を負いますが,被告人に不利な内容について,被告人側が合理的な疑いを提示できた場合には,被告人に対して有利に(=検察側にとっては不利に)事実認定をすることになります。

もっとも,日本ではこの疑わしきは罰せずの原則に反して,性犯罪(強姦,強制わいせつ,痴漢など)やセクシャルハラスメントに関係する裁判で,「疑わしきは罰する」というが如き判決が相次いでいるとの指摘があります。

これは,警察や検察,裁判官が「被害を受けた」と訴えたの女性側の言い分を鵜呑みにして他の客観的な証拠なしに立件し,加害者と見なされた男性側の言い分が一切無視されることが原因になっているともいわれています。

冤罪 [えんざい]

無実の者が逮捕され被疑者として扱われたり,起訴され刑事裁判を受けたりした場合をいいます。

冤罪の原因は主に「人が人を裁く」ことにあります。人は,過去に起きた出来事を観察することができないことから,起こった出来事を,現在存在する物や記録,人の記憶をつなぎ合わせ,合理的に推測するしかありません。

したがって,犯罪という過去の出来事の有無を人が判断する裁判においては,犯罪という過去の出来事が存在したであろうと裁判所が確信を抱いたとしても,それを確認することはできません。この結果,犯罪の存否に関する人の判断と,過去の事実の存否との齟齬が生じることは避けられません。

このような裁判の限界から,冤罪というものは少なからず生じてしまう危険性があります。

そこで,刑事訴訟法は,再度裁判を開く再審という制度を設け,一度有罪とされた者につき新たに発見された証拠に基づいて再度裁判所の判断を仰ぐ機会を設けています。

もっとも,上記のような「人が裁く」という裁判の限界からのみならず,痴漢事件では女性側の意見を捜査機関及び裁判所が鵜呑みにしがちなことなど,冤罪が生まれやすい構図があることも指摘されています。

押収拒絶権 [おうしゅうきょぜつけん]

医師,歯科医師,助産師,看護師,弁護士,弁理士,公証人,宗教の職に就いている者またはこれらの職に就いていた者は,業務上の委託を受けて,保管または所持する物で他人の秘密に関するものについては,押収を拒むことができます(もっとも,本人が承諾した場合等は除かれます)。

押収は,所有者,保管者の意思に反してでも,捜査機関が対象物を差押えて,その後も引き続き保管をしてしまうことができる強制処分です。
強制処分ですので,捜索差押えに入られた場合は,押収を受ける者は押収を拒絶することはできません。

しかし,例えば捜査機関が法律事務所を捜索して,依頼者様との面談記録などの関係書類を押収できるというのでは,依頼者様の秘密が捜査機関に筒抜けとなり,また,裁判に臨む手の内を知られることになります。そこで,弁護士や医師,宗教家などは,他人の秘密に関する物については押収を拒むことができ,むしろ,正当な理由がない限り,押収を拒まなければなりません。

押収物の還付 [おうしゅうぶつのかんぷ]

刑事事件の証拠物として,捜査機関に押収された物も,犯罪の立証のために不要とされたものや,裁判終了後一定期間を経過したものは,元の所有者である本人に返還されることを言います。

押収された証拠品の所有者が返還を希望しているときには返還されますし,事件終結前であっても,裁判に必要のない押収物等については,還付又は仮還付の手続をとる場合もあります。

なお,押収された証拠品のうち,裁判所から没収の言渡しを受けた証拠品や所有者が所有権を放棄した証拠品については返還されません。

押収目録 [おうしゅうもくろく]

捜査機関は,裁判所の発付する令状の下,家宅捜索やその他捜査上で,証拠品となるものや事件と関連がありそうなものを押収することができますが,その際に作成を義務付けられている目録を言います。

家宅捜索等を受け,捜査機関によって押収を受けた場合,押収された物の所有者等は,この押収目録の交付を受けます。

おとり捜査 [おとりそうさ]

捜査機関や民間人協力者が「おとり」となって被疑者に犯行をもちかけ,犯行の現場に立ち会うなどして,行為者の逮捕もしくは証拠の収集をおこなう捜査方法をいいます。

麻薬等の犯罪は通常の捜査方法では発見することが困難であり,またその常習性からおとりにかかりやすいという特殊性があるから,特に薬物犯を捕まえるために行われています。

おとり捜査は,捜査機関が自ら犯罪を創りだしておきながら,他方でその犯罪を訴追するという自己矛盾した行為です。

そこで,おとり捜査を,犯人が当初から犯意があり,おとりが単にその犯行の機会を提供したにすぎない機会提供型と,犯人がおとりによって罠をかけられて初めて犯意を生じ犯罪を行った犯意誘発型に分類し,機会提供型のおとり捜査は原則として適法であるものの,犯意誘発型は違法と考えられています。

違法なおとり捜査の結果得られた証拠は,適法な証拠収集手続きを経ていないことから,違法収集証拠として裁判の資料からは排除されることとなります。

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