家族の事件を全くの他人に見られたくありません。裁判を非公開にできませんか?
「家族の事件を全くの他人に見られたくない」という理由で非公開にすることはできません。
裁判は公開の法廷で行うのが原則とされており(憲法82条1項),例外的に,(1)裁判官の全員一致で,(2)公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には,公開しないで行うことができるとされていますが(同条2項),この場合でも判決は公開の法廷で言い渡されることになっています。
なお,(1)政治犯罪,(2)出版に関する犯罪,(3)憲法で保障する国民の権利が問題となっている事件については,常に公開しなければならないことになっており,例外は認められていません(同条2項ただし書き)。
裁判が公開されている趣旨は,国民に裁判を傍聴する機会を与え,裁判の公正な運用と裁判に対する国民の信頼(監視)を確保するところにあります。
非公開の法廷で,被告人の言い分を聞かないまま不当な刑罰が科されたり,政治犯が公正な手続を経ないで処罰されたりすることを防止することが目的とされています。
このように,裁判の公開は憲法上で定められた非常に重要な原則ですので,「家族の事件を全くの他人に見られたくない」という理由で非公開にすることはできません。