傷害罪,傷害事件
15年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法204条)
(1)罪の概要説明
傷害罪は,他人の身体に対する傷害行為を処罰する犯罪です。たとえば,人をナイフで切りつけてケガを負わせるというのが,傷害罪の典型例です。もっとも,裁判例は「傷害」を「人の生理的機能を害すること」と解しているため,ケガをさせる行為のみならず,病気をうつす行為や相手方に精神的なショックを与える行為でも,傷害罪が成立します。
また,法律上は傷害の方法に限定は加えられていないため,目に見える有形の暴力行為を伴うものだけでなく,嫌がらせの電話によって相手方をノイローゼにさせるといった行為についても,傷害罪が成立し得ることになります。
(2)弁護方針
傷害事件では,対立関係にある当事者間で事件が起こることが多いため,被害者側との間で事件の供述について食い違いが生じるケースも必然的に多くなってきます。そこで,弁護人は,収集した客観的証拠に基づき,本人の供述が真実であることを捜査機関や裁判所に対して主張・立証していくことになります。
また,被害者との示談交渉を早期に開始し,起訴される前の段階で示談を締結することにより最終的に不起訴処分となるよう,弁護活動を行っていきます。
なお,相手方に傷害の結果が生じていないなど,実際には傷害罪が成立しないにもかかわらず逮捕,起訴されてしまった場合には,医師の診断書などの客観的証拠を用いて捜査機関の判断が十分な証拠に裏付けられていないことを主張し,不起訴処分や無罪獲得を目指していくことになります。