ストーカー規制法違反
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)違反
(1)罪の概要説明
特定の相手に対する恋愛感情や好意,またはそれが満足されなかったこと恨んで,その相手や家族等に対してつきまとったり,待ち伏せしたり,繰り返し電話やFAXしたりする行為が当たります。
こうしたストーカー行為に対して,被害者が警察に相談すると,警察からストーカー行為をやめるように警告を受けることがあります。警告を受けた後もストーカー行為を続け,相手やその家族などに対して,身体の安全や生活の平穏を脅かすような不安を与えた場合には,都道府県の公安委員会から,「二度とストーカー行為をしてはならない」という禁止命令が出されることがあります。
この禁止命令後が出た後もストーカー行為をした場合には,1年以下の懲役または100万円以下の罰金に問われることになります。また,ストーカー被害を受けているとして被害者が告訴した場合には,警察によって逮捕され,その後,起訴されると6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることがあります。
なお,ストーカー規制法は,あくまでも「恋愛感情」や「好意」,それが満足されなかった場合の「恨み」の感情に基づく「つきまとい」行為を対象としています。こうした感情とは無関係になされたつきまとい行為は,軽犯罪法で処罰されることが考えられます。
たとえば,お金を貸したが,なかなか返済してくれず,その返済を求めるためにつきまとっただけであれば,ストーカー規制法による処罰はありません。ただし,その相手が元交際相手などとなると,単に借金取立の目的だけでなく,「恋愛感情」や「好意」なども複雑にからみあい,ストーカー規制法の対象であると,警察や裁判所が判断する場合もあります。
(2)弁護方針
ストーカー規制法違反事件の場合,被害者の精神的被害は,相当大きいと考えられます。慰謝料を含め,粘り強く示談交渉を進めていくことになりますが,被害者だけでなく,その周辺にいる家族や親族の不安を払しょくできるかが,非常に重要となります。
弁護人は,本人からストーカー行為に至った経緯など,原因について丁寧な聞き取りを行うことはもちろんですが,被害者やその家族などからも丁寧に聞き取りを行い,その要望の確認・把握に努めます。
そのうえで,本人に被害者やその親族の自宅や勤務先に絶対近づいたりしないよう真摯な反省・誓約を求めたり,二度とストーカー行為を繰り返さないように,本人の親族等にも協力・監督を求めたり,本人にカウンセリングの通院や必要に応じて投薬治療も求めたりするなど,被害者の不安を払しょくするような対策を講じる弁護活動を進めていきます。